「弁証法的幸福論」松島 紀三男

幸福と満足とはポジティブという共通性はありますが、同義語ではなく、背反する側面があります。
ヘーゲルの弁証法でいうと、満足度はテーゼ(肯定)であり、不満足がアンチテーゼ(否定)、幸福はジンテーゼ(総合)に相当します。
満足はただ満たされているということで終わっては次元の低いポジティブ概念に過ぎません。
不満足は問題の所在を示すものではありますが、単なる現状に対する不満に終わっては生産的とは言い難いでしょう。
満足という現状に安住するのでなく、不満足という現状否定に留まるのではなく、不満足を成長、変革の契機としてさらなる高みを目指すのが、ジンテーゼとしての幸福です。
満足と幸福は次元の異なる概念であり、満足を否定し、それをさらに否定して、螺旋状の発展段階を経て、より高い次元での肯定、すなわち幸福へと至るのです。
これはヘーゲルの言う弁証法的発展に相当すると考えます。
私の考える幸福論は単なる満足を指すのではなく、このような二重否定を経た高い次元の肯定であり、満ち足りた人生の肯定的感情から出発し成長と変革と言うアウフヘーベンされた幸福を目指すという螺旋階段を昇るような道程に他なりません。
これを私は「弁証法的幸福論」と呼んでいます。 (松島 紀三男)

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