人生の悲しみと苦しみも、人間の成長にとって刺激になる。マルサス『人口論』

人生の悲しみと苦しみも、人間の成長にとって刺激になる。悲しみや苦しみは、それぞれの人の心に染みこんでいって、その人にやさしさや人間らしさをもたらし、社会問題に共感できる力を目覚めさせ、キリスト教徒としての道徳心を育み、慈善のために努力する心のゆとりを生じさせるために、なくてはならぬものだと思う。みんながそろって裕福になるのが普通になってしまうと、各人の人格は向上せず、むしろ堕落する。人生の悲哀を知らぬまま育った人は、同胞の苦しみも喜びも、欲望も願望も、自分の心で生々しく感じ取ることができないだろう。そういう人から、やさしさとか親しみやすさなどの、あたたかい同胞愛があふれ出てくることはめったにない。どんなに高度の才能をもつことよりも、そうした思いやりの心をもつことこそが、人間性を高貴にするのである。(『人口論 (光文社古典新訳文庫)』(マルサス, 斉藤 悦則 著)より)

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