三大幸福論

幸福論(こうふくろん、theory of happiness、Eudaemonics)は、幸福や人生そのものについての考察や論究を指します。
この分野では、一般的に、アリストテレスの『ニコマコス倫理学』を嚆矢とされています。
20世紀には、ヒルティ、アラン、ラッセルといった著者がそれぞれ「幸福論」を執筆し、これらは「三大幸福論」として知られています。

三大幸福論とは、19世紀から20世紀にかけて書かれた、幸福に関する3つの重要な著作を指します。これらは、カール・ヒルティの『幸福論』(1891年)、アラン(エミール・シャルティエ)の『幸福論』(1925年)、バートランド・ラッセルの『幸福論』(1930年)によるものです1

ヒルティの幸福論: ヒルティはスイスの神学者であり、彼の幸福論は宗教的な視点から書かれています。彼は、神のそば近くにいることが永続的な幸福を約束すると主張しています。ヒルティは、内面的な平和と道徳的な生活を通じて幸福を追求することを勧めています。

アランの幸福論: アランはフランスの哲学者で、彼の幸福論は楽観主義に基づいています。健全な身体によって心の平静を得ること、すべての不運やつまらぬ物事に対して上機嫌に振る舞うこと、社会的礼節の重要性を強調しています。

ラッセルの幸福論: ラッセルはイギリスの哲学者であり、彼の幸福論は個人の自由と創造性を重視しています。彼は、自分の関心を外部に向け、活動的に生きることを勧めており、愛や仕事、知的興味から幸福が生まれると考えています。

これらの著作は、それぞれの著者の個人的な経験と時代背景を反映しており、幸福に対する異なるアプローチを提供しています。ヒルティは19世紀の宗教的な価値観を、アランは戦間期のフランスの社会的変化を、ラッセルは20世紀初頭の科学と合理主義の進展を背景にしています。これらの幸福論は、幸福を追求する多様な方法を示し、現代においても多くの人々に影響を与え続けています1

但し、『三大幸福論』というのはあくまで通俗的に定まった評価であり、学術的に重要なベスト3を指すものではありません。
幸福論はアリストテレス以来、『幸福論』と題するもの以外も含めて、多くの哲学者をはじめとする人々によって論じられてきました。
幸福論は哲学的には「倫理学」の分野とされていますが、幸福に関する研究は哲学の中心的テーマと言っても過言ではありません。
『三大幸福論』以外にも優れた幸福に関する著作があります。


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