フレックスタイム制への大きな誤解
フレックスタイム制への大きな誤解
NEW!2020-06-25 11:54:57テーマ:従業員幸福度(EH)コラム
新型コロナウイルス対策としての時差通勤実現、テレワークの急速な普及に伴い、
改めてフレックスタイムの導入について相談を受ける機会も多くなってきました。
その際改めて痛感するのは、お客様の多くがフレックスタイムを誤解しているなあということです。
コアタイムは必ず設定しないといけない?
誤解というのは、フレックスタイム制度では、必ずコアタイムを設定する必要があると勘違いしている方が非常に多いということです。
経験上、10人のうち9人はコアタイムが必ず必要と誤解されている感じです。
専門であるはずの人事担当者でさえ、そのように誤解されている場合が少なくないのです。
労働基準法にはフレックスタイムを導入する場合、コアタイムを設定しなければならないとはどこにも書いてありません。
労働基準法が定めているのは、フレックスタイムを導入する場合、
コアタイムを設定する場合は始めと終わりを必ず設定しなくちゃいけないということだけです。
慣習としてコアタイムを設定しているケースがほとんどなので、法律上コアタイムが必要と勘違いされるようになったのではないかと思います。
このコアタイムが曲者なのです。
以前から残業削減、残業ゼロ等のコンサルテーションを多く実施してきましたが、
その場合もフレックスタイムにコアタイムを設定していることが、かえって残業削減の障害となり、
時間外労働を助長しているケースが多いことを痛感していました。
どういうことかと言うと、残業が非常に多い会社でよく見られるケースは、
夕方から夜間にかけて繁忙期になる業態、業務が多いのです。
例えば、業務の特性から言って商談や打ち合わせの時間が夕方から夜間に集中する具体的な事例として、B to C のビジネスをやっている会社(顧客が帰宅してからが稼ぎ時)、ワールドワイドでビジネスをやっている会社(時差が発生する)などがあります。
ところがコアタイムは10時から15時で設定しているケースが大半なので、遅くとも10時には労働を開始しなければならず、
結果として残業が発生してしまいます。
こういう場合はコアタイムを設定しない方が効果的です。
最近はコアタイムを廃止する会社も増えてきました。
スーパーフレックスタイムとか、フルフレックスタイム制とも呼びますね。
筆者のコンサルテーションでも残業が多い原因がコアタイムになっているので、
コアタイムを外してもらうという解決策が効果的だった場合が多いです。
それぞれ会社の状況に違いがあるので、一概に全部コアタイムを設定すべきでないとは言えませんが、
新たにフレックスタイムを導入する場合や、フレックスタイム制度を導入している会社では、
当然、コアタイムは設定するものだと考えるのではなく、
自社の状況でコアタイムが必要かどうかを検討してはいかがでしょうか。
もちろんコアタイム設定している場合でも、時差通勤はできますから、
新型コロナウイルス対策にかかわらず、通勤地獄対策には有効ですから
社員の幸福度を高めるために、検討していただきたいですね(^_^)
(松島 紀三男 イーハピネス株式会社 代表取締役)