カスハラ(カスタマーハラスメント)は従業員の幸福度を損なう
カスハラは従業員の幸福度を損なう
最近よくカスハラ(カスタマーハラスメント)が話題になっている。
筆者が開発実施している
従業員幸福度(EH)調査では
2013年のEH 、従業員幸福度調査
開発時点から
組織の well beingを構成する要素として
ハラスメントのカテゴリーに
カスタマーハラスメントも入れている。
2013年から現在まで
日本で全体的には
組織内のハラスメントは漸減傾向にあるが
カスタマーハラスメントは
依然として多く
従業員がその被害にあっている。
セクハラ、パワハラ等の
社内のハラスメントは
会社側のハラスメント対策の効果もあり
低下してきているが
相対的に
カスハラの問題が顕在化してきている。
セクハラ、パワハラは
人事、労務の部門において
重点課題として対策が進みつつある
のに対して、
カスタマーハラスメントは
現場の従業員の問題として
今だに現場の努力に任され
問題として潜在化していることが多い。
クレーマー、モンスター顧客
からの被害として
接客サービス業で話題になることが多いが、
B TO B の法人間の問題としても
従来から根強くある。
下請けに対する無理難題の押し付け、
流通会社の納入業者に対する
法外な値下げ要求など枚挙にいとまはない。
色々な商品、サービスの安さが
日本全体を覆っているが
組織的カスタマーハラスメントが
これらを助長している面もあると考える。
日本の多くの会社が首を絞めあって
デフレスパイラル、
負の連鎖の中から抜け出せない状態
の一因となっている。
従業員幸福度調査を
筆者が実施させていただいた
多くの企業でも
セクハラやパワハラが
少ない又は低下傾向であるのに対して
カスハラが高止まりしている会社が
少なくなかった。
先に述べたように
第一線の従業員が顧客からの無理難題、
優越的地位の濫用による
圧力に悩んでいるのに対して
トップや幹部が
現場で受けているカスハラの問題を
十分に認識していないケースがなくない。
従業員を大切にしようという
良心的な経営幹部であっても
従業員がカスハラの被害にあっている
ことに対する認識不足から
対策が打たれていないケースが多いのである。
筆者の従業員幸福度調査の結果に基づき
カスタマーハラスメントの項目が
ウェルビーイングな状態を損なっている
ことをフィードバックさせていただき、
トップ、経営幹部が
迅速に行動していただいた場合は
思いの外スピーディーに
解決する場合も多い。
最近は顧客である企業の方でも
CSR(企業の社会的責任)として
取引先に対する倫理的行動が
重点方針になっているケースも多いので、
自社の従業員がカスハラの被害にあっていることをフィードバックした場合には
積極的に改善してもらえるか、
むしろ感謝される場合もある。
カスタマーハラスメントは
従業員の幸福感を
ダイレクトに破壊するエネルギー
を持っている。
顧客から浴びせられる罵詈雑言、
暴言はメンタルヘルスを極度に低下させ、
押し付けられる無理難題は
それ自体、強いストレスであり
それに対応するためには
残業休日出勤を常態化させ
ワークライフバランスの低下、
睡眠、休養などの不足によって
心身の健康を極度に低下させる。
構造的な問題によって
解決が難しい場合も少なくないのが
現状であるが、
潜在化しているカスハラの問題
に気づき
解決に向かって行動すれば
容易に解消が期待できる場合も少なくない。
まずは会社のマネージメントによる
現場のカスハラの実態把握をおすすめしたい。
現場の組合員の声をよく知っている労働組合からの経営へのフィードバックも効果的である。
セクハラやパワハラは
幸い減少しているので
次の課題として
カスタマーハラスメント
の解決に向かって
行動されることを強くおすすめしたい。