従業員幸福度(EH)事始
松島 紀三男
従業員幸福度(EH=Employee Happiness)及び EH 調査という着想を得たのは2013年頃のことです。すでに従業員幸福度、EHという言葉はチラホラと目にすることがありました。しかし EH 調査というのは私の知る限りなかったと思います。ES 調査は前々職の株式会社ビジネスコンサルタントにおいて多数手掛けていましたが、ES調査に限界を感じていました。そこで私が2013年頃、当時所属していた会社で、EH 調査を開発することを思い立ちました。
EH 調査を上梓して販促活動を開始すると、多くのお客様から問い合わせをいただき、EH 調査のセミナーを開催するとやはり多くの企業からご参加をいただきました。
まさに「従業員幸福度(EH)の時代」を、ひしひしと実感しました。
色々なお客様でEH 調査を実施させていただきましたが、2018年の6月、残念ながら私が脳梗塞を発症してしまいました。1年以上の療養を経て、幸い日常生活業務にも支障ないほど回復することができましたが、2019年5月、本意では無いけれど、会社退任を余儀なくされました。ひらたく言うと、病気をきっかけに会社を追われたのです。まさか創業に参画した会社を追われるとは思いもしなかったのですが、私の不徳のいたすところです。
図らずも大病を患うとともに会社のポスト、収入の道を閉ざされるという、はたからみると不幸のどん底のような状況に陥ったのです。しかし不思議と、私は不幸だとは感じませんでした。確かに非常に大きなショックを受けましたが、自分を不幸せとは思わなかったのです。それはどうしてか、自分でも考えてみました。その理由を一言でいうと「希望」、回復への希望、残った力で未来を切り開く希望を失わなかったからではないかと思うのです。
幸福度、従業員幸福度においてこのことは非常に重要な意味を持つと思います。パンドラの箱を開かれて、この世にあらゆる厄災が振りまかれた時、最後に人間に残されたものが「希望」であったという、神話の象徴的意味を考えることが大事であると思います。
私が考える従業員幸福度(EH) 調査においても、将来への「希望」ということは非常に重要な調査項目を占めています。従業員幸福度においては、組織が従業員に将来展望を示すことが非常に重要な意味を持つと考えます。
私にとって困難な状況が幸福度というものを深く考える機会となりました。人間万事塞翁が馬といいます。人間は、困難な状況においても未来を切り開く希望が見える時、幸福を感じることができると確信します。