三木清の幸福論「幸福について」(『人生論ノート』)
三木清の幸福論は、彼の著書『人生論ノート』に詳しく述べられています。
この本は、1938年から1941年にかけて雑誌「文学界」に連載されたエッセイをまとめたもので、
幸福、死、孤独、成功など23のテーマについて論じています。
三木清は、幸福を「表現的なもの」として捉えています。つまり、幸福は内面的なものだけでなく、外に現れるものであるとしています。
彼は「幸福は徳に反するものではなく、むしろ幸福そのものが徳である」と述べ、
自分が幸福であることが他者に対しても善い影響を与えると説いています。
また、三木清は「幸福は人格である」とも述べています。
真の幸福は一時的なものではなく、人格の一部として常に存在するものであり、どんな困難にも立ち向かう力となるとしています。
このように、三木清の幸福論は、幸福を内外に表現し、他者にも伝播するものとして捉えています。
(出所:『人生論ノート』1941年8月、創元社)