エンゲージメントと従業員幸福度(EH)

近年エンゲージメントが経営において重要な課題として多くの人の関心を集めています。エンゲージメントは従業員の幸福度と大いに関係があります。

エンゲージメントは既に様々の人々によって論じられていますが、ユトレヒト大学の Wilmar Schaufeli 教授によれば次のように定義されています。

「エンゲージメントは、仕事における積極的で充実した心の状態であり、活力や献身をもって夢中になるような状態である。 エンゲージメントは特定の対象に向けられた一時的な状態ではなく、より持続的かつ包括的な感情と認知の状態である。」

‘Engagement is a positive, fulfilling, work-related state of mind that is characterized by vigor, dedication, and absorption. Rather than a momentary and specific state, engagement refers to a more persistent and pervasive affective-cognitive state that is not focused on any particular object, event, individual, or behavior.

(UTRECHT WORK ENGAGEMENT SCALE Preliminary Manual [Version 1.1, December 2004] Wilmar Schaufeli & Arnold Bakker)

近年のエンゲージメントへの関心の高まりのきっかけとしてギャラップ社によるエンゲージメント調査結果があります。 余談ですが、世界各国の調査の中で日本のエンゲージメント調査の結果が異常に低いことが話題になっていますが、これは額面通りに受け取る必要もないのではないかという疑問を持っています。というのは筆者が複数の多国籍企業、外資系企業などで調査した経験から言って、各種の調査結果のデータES 調査も含めておしなべて日本がワールドワイドで最も低い結果になっているのです。つまりもともと日本人は心理的にこのようなアンケート尺度でネガティブに回答する癖があるのでその影響もあるのではないかと思います。

同様に前述の Wilmar Schaufeli 教授らが中心となってユトレヒト大学で開発されたワークエンゲージメント尺度も各国版が開発され日本でも実施されているようですがやはり諸外国と比べ低いデータとなっているようです。

ワークエンゲージメントの定義、概念を見るとセリグマン教授らのポジティブ心理学やチクセントミハイ教授のフロー理論と親和性が高いように思われます。

筆者が開発した「従業員幸福度・EH調査™」とも通底する部分が多く、エンゲージが元々雇用契約とか仕事への従事などの意味を持つように、我田引水にはなりますが「従業員幸福度(EH)」とも非常に共通性が高い概念と考えます。

筆者は「自己実現」というカテゴリーにまとめていますが、もっと適切なネーミングがあるかもしれません。その候補としてはエンゲージメントあるいはワークエンゲージメントというものは、コンセプトとしては非常に近いと思います。

ワークエンゲージメントの主旨に近い要素は「従業員幸福度(EH)」の現在および将来予測ともに回帰係数0.3以上と、非常に影響力が強いことが筆者、イーハピネス株式会社の調査結果で明らかになっています。

特に現在の「従業員幸福度(EH)」への影響力は 最大であり「従業員幸福度(EH)」の未来予測でも「ビジョン、理念、政策」に次いで数値が高くなっていますがその値はほぼ拮抗しています。

従業員のワークエンゲージメントを高めることは「従業員幸福度(EH)」の向上を図る上で最も重要と言っても過言ではないでしょう。(イーハピネス株式会社 松島 紀三男)

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