EHとESの違い④~「幸福度」と「満足度」を混同する現代の研究者

「幸福度」と「満足度」を混同する現代の研究者

「幸福度」と「満足度」が重要な違いを持っていることは既に指摘した通りです。ところが、幸福学の多くの研究者は「幸福度」と「満足度」を明確に区別せずに扱っている場合が大半です。幸福度と満足度を併記して論述し、同義語ないし類義語として扱っています。たとえば、幸福学研究の権威とされるエド・ディーナー、マーティン・セリグマン、ロバード・ビスワス・ディーナー(エド・ディーナー博士のご子息)らは「幸福度」の指標として「人生の満足度」を用いています。

既に示したとおり、J.S.ミルはこの違いを明確に指摘しています。「幸福度」と「満足度」の違いを指摘した小林、ホメリヒ、見田、各氏の協同研究(『なぜ幸福と満足は一致しないのか』,2015)[i]などもありますが、ごく一部です。

筆者は「幸福度」と「満足度」が一致しないこと、「幸福度」は「満足度」より一般的に高くなること、「幸福」だが「不満」という人はかなり存在するが、「満足」だが「不幸」という人は非常に少ないことを、2014年に全国調査を実施したデータのクロス分析で確認していますが、類似した分析結果を小林、ホメリヒ、見田、各氏の協同研究(2015)で指摘しています。


[i] 成蹊大学文学部紀要 第 50 号(2015) 87 なぜ幸福と満足は一致しないのか ─社会意識への合理的選択アプローチ─ 小林盾、カローラ・ホメリヒ、見田朱子

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。