「目標は幸福を制限する」ジェームズ・クリアー
「目標は幸福を制限する」ジェームズ・クリアー
『ジェームズ・クリアー式 福利で伸びる1つの習慣』
牛原真弓訳、パンローリング株式会社、2019年、p37.
どんな目標にも次のような暗黙の了解がある
「目標に達したら、幸福になれる」。
目標第一主 義の問題は、
目標の次の節目まで幸福を先延ばしにしつづけることだ。
(中略)
何年ものあいだ、幸福はつねに未来のものだった。
筋肉があと九キロ増 えたら、または自分のビジネスがニューヨーク・タイムズに取りあげられたら、そのときやっとくつろげるのだと自分に約束したものだ。
さらに、目標は「二者択一」という対立を生み出してしまう。
目標を達成して成功を味わうか、達 成できずに失望するかのどちらかである。
幸福の意味を狭くして、自分を心理的に閉じこめてしま う。
これは間違った考えだ。
人生で歩む現実の道が、はじめに思い描いた旅路どおりになることなどありえない。
成功への道はたくさんあるのに、ひとつのシナリオどおりでないと満足できないと 制限するのは無意味である。
仕組み第一主義なら、それに対処できる。
結果よりプロセスを心から大切に思うとき、幸福にな るのに待つ必要などない。
仕組みが進んでいれば、いつでも満足できる。
そして仕組みは、はじめに思い描いたものだけでなく、
さまざまな形で成功を収めることができる。
仕組みとは「習慣」をつくる仕組みのことである。
この文章は幸福とは何かを定義する三大学説
・快楽説
・欲求達成説
・客観的リスト説
のうち「欲求達成説」の持つ二大弱点を見事に言い表している。
すなわち下記の問題を端的に示している。
・目標達成しないと幸福でないのか?達成までは幸福でないのか?
・本人が設定した目標以外のものから幸福が得られることもあること
→目標への固執がクランボルツの言う
「計画された偶発性」による幸福の機会を排除する可能性
目標を設定するのは悪いわけではないが、
その為の仕組み=習慣のデザインと定着化を併せて構築しなければ
「目標設定」倒れになる可能性が極めて高い。
また目標という目的地以外に目もくれず座席に座っているよりも
車窓の風景を楽しんだり(プロセスで幸福を感ずる)
行き先を変えたり、途中下車したりしてみるのもいい(目標、幸福の模索)
設定した目標に制限され
目標というくびきに縛られ幸福の機会をあたら失うことだけは避けたいものである。