エンゲージメント(Engagement)

エンゲージメント(Engagement)、またはワークエンゲージメント(Work Engagement)は
近年、経営、組織論、行動科学等の分野で注目されてきた構成概念です。
エンゲージメント(engagement)の語源は古仏語の engagerであり、仏語でengagementは「約束、契約」を意味します。
英語では多様な意味を持ち「従事、没頭していること」「婚約、結婚の約束」「約束、予定」「雇用、仕事(の契約)」
「戦闘、交戦」「かみ合っていること」「順調に進行していること」「仕事、活動などへの積極的な関与」等の意味を持ちます。
原義的には接頭辞en+gage(gage=「約束 」古仏語)ですが、近年、経営分野で用いられる概念は、はるかに拡張されています。
昨今用いられているエンゲージメント(Engagement)、またはワークエンゲージメント(Work Engagement)の概念では
「従事、没頭していること」「仕事、活動などへの積極的な関与」が意味として最も当てはまるでしょう。

学問的にエンゲイジメントを最初に概念化したのは、W.A.Kahn(1990※)です。
※The Academy of Management Journal, Vol. 33, No. 4 (Dec., 1990), pp. 692-724

Kahnは、「パーソナル・エンゲイジメント」という構成概念を提唱し、
組織の一員である自己と 「仕事上の自己の役割」との結びつきとして「パーソナル・エンゲイジメント」概念を定義しました。
そして同化するほど強い結びつきを実感する自己=組織の従業員は、組織に対し多大な貢献を果たすと指摘しました。
当然その過程で内面化した仕事の充実は高い「幸福感」に結びつくでしょう。

前後してエンゲージメントへの関心の高まりのきっかけとなったものとしてギャラップ社による『エンゲージメント調査』結果があります。
「エンゲージメント(Engagement)」という用語は、1990年代にギャラップ社によって初めて使用された可能性が高いと指摘されています。

エンゲージメント(Engagement)、またはワークエンゲージメント(Work Engagement)の概念が確立されたのは2002年、
オランダのユトレヒト大学の Wilmar Schaufeli 教授によってワーク・エンゲイジメントの概念が提唱されました。
ユトレヒト大学の Wilmar Schaufeli 教授は次のようにエンゲージメント(Engagement)を定義しています。

「エンゲージメントは、仕事における積極的で充実した心の状態であり、活力や献身をもって夢中になるような状態である。
エンゲージメントは特定の対象に向けられた一時的な状態ではなく、より持続的かつ包括的な感情と認知の状態である。」

‘Engagement is a positive, fulfilling, work-related state of mind that is characterized by vigor, dedication, and absorption.
Rather than a momentary and specific state, engagement refers to a more persistent and pervasive affective-cognitive state that is not focused on any particular object, event, individual, or behavior.

(UTRECHT WORK ENGAGEMENT SCALE Preliminary Manual [Version 1.1, December 2004] Wilmar Schaufeli & Arnold Bakker)

ここで本質的な意味において、原義的にも、現代用いられる構成概念としても
エンゲージメント(Engagement)という概念は対象との関係、結びつきなしには成立しないことに大いに注目すべきと考えます。
エンゲージメント(Engagement)の類似概念として、
組織コミットメント(Organizational Commitment)、ワーク・モチベーション (Work Motivation)
ジョブ・インボルブメント (Job Involvement)、フロー(Flow)
等が挙げられますが(令和元年版『労働経済白書』等)
この「対象との関係」を想定していることは、類似点並びに相違点を考える上で決定的な基準となると筆者は考えます。
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