テレワーク導入は新型コロナ対策なの?~多様な人々が多様な働き方で参画できる社会に

テレワーク導入は新型コロナ対策なの?~多様な人々が多様な働き方で参画できる社会に

テレワーク導入が、多くの企業で大慌てで進められています。
今までテレワークなど歯牙にもかけなかったような企業が、あたふたとテレワークの導入に戸惑っているケースを見ると、
このご時世に不謹慎ではありますが、ちょっと滑稽な気もします。

考えてみてください。テレワークって新型コロナ対策でやるべきものなのでしょうか?

もちろん今は喫緊の課題ということはあると思います。
今はとりあえず、新型コロナ対策ということで取り組むとしても、
我が社にとってテレワークがどういう意味があるのかということを考えるきっかけにしていただければ良いのではないかと思います。
テレワーク導入の目的はかくあるべきと言うひとつだけの目的があるわけではないと思います。
テレワーク導入の目的も多様であっていい。
もちろんテレワーク導入の範囲、可能性は、業者、業態によって大きく異なります。
これをきっかけにして今まであまりテレワークに熱心でなかった企業が、いろいろなマネジメントの選択肢を模索するきっかけになればいいと考えます。

会社に出てきて、集まって働くというのは産業革命以降のパラダイム

もし、会社に出てきてこそ、望ましい仕事ができる。テレワークは緊急避難的な手段で本来の会社の在り方とは違う。

そう思ってる人がいるとしたら、自分のマネージメントに関するパラダイムを点検してみた方がいいでしょう。

会社のあるところに集まって働くというのは、決してすべての業種に共通の理想的形態ではありません。

それはたかだか、工場制手工業と共に発生し、産業革命以降大いに飛躍した、装置産業的なパラダイムにすぎません。

第1次産業、すなわち農林、牧畜業や漁業の時代は、生産物のえられる土地や、牧場、漁場で働いていましたし、 第2次産業の前駆的形態と言える家内制手工業、問屋制手工業の時代は、自宅兼工場、または自宅でもっぱら働いていたのです。

確かに今でも大型の設備が必要な工場など、設備のある所で働くことが不可欠な業種もあります。それでも自動化、省人化が進み、製品によって差がありますが、設備に張り付いていなくてはならない従業員は、 装置産業の典型である製鉄所を例に取ると、最も多くの人数が働いていた時期の、1/10以下に減っています。

また労働集約的製造業の典型である自動車メーカーを例にとれば、純粋に製造ラインについて組み立て業務を行っている従業員は、全従業員の1/3以下にすぎません。 

確かに一所に集まって、ダイレクトに会話ができる職場は多くのメリットもあることは事実ですが、特に首都圏の会社の場合、通勤に往復2時間以上かけている人が多いのが普通です。

筆者の場合も茅ヶ崎から東京まで、毎日往復4時間かけて通勤していました。一箇所に集まって対面コミュニケーションをとるために膨大な通勤時間をアイドルタイムとしてかけることが果たして時間的に有効な投資かどうか考えてみる必要があります。 

私はその大きな目的のひとつとして、多様な人々に、多様な働き方を提供することが「最大多数の最大幸福」
日本の産業社会の進歩につながると強く思います。

テレワークを活用してダイバーシティの推進、より多様な人々が多様な働き方で参画できることで、従業員の幸福度、EHが高められれば非常に良いことだと思います。
日本は良いところもたくさんありますが、変革すべきところもたくさんあります。
その中の一つにダイバーシティ、多様な人々の多様な働き方が必要だと考えています。
働く国として日本を考えてみた場合、まだまだ必要以上に門戸を狭く閉ざしている社会だなぁと思います。
たまたま、以前、電車の中で、アメリカ人で長く日本に住んでいるという人と乗り合わせて、日本は働きやすいかという話になったことがあります。
その人が言うには「日本の企業は年齢によって不当に門戸を閉ざしている」ということでした。
年齢が高いというだけでどんどん門戸が狭まってしまう。
なるほどそうだなと思いました。

アメリカは定年制度は法律で禁止されています。
理由は、年齢で不当に雇用機会を閉ざすのは差別だからです。


企業は新卒偏重で、新卒で就職し損なうと、即フリーター人生の危機が待っています。転職の限界は実質35歳などという不文律も未だに根強いですし、定年制度で問答無用で退職させられます。
最近は継続再雇用の企業が増えていますが、定年とともに、いきなり賃金がものすごく下げられて、ポストも外されて、とても誇りや働きがいを持って働けるという環境ではないと思います。
筆者のバンド仲間で定年で継続再雇用のプランが示されたにもかかわらず、
とても誇りを持って働けないから
という共通の理由でリタイヤしてしまった人が二人います。
二人ともIT系の日本の会社で、いわゆる大企業です。二人ともピンピンしていて、気力、知力ともに高いと思いますが、今はもっぱらバンド活動にやりがいを集中していて、もったいないなあと思います。

日本の企業は、障がい者にとっても非常に働きにくい社会
で、未だに半数の会社は、法定の障がい者雇用率を満たしていません。
罰金さえ払えばいいんだろうという感覚でしょうか。
急速に障がい者雇用を進めている会社は増えつつありますが、「うちの会社は障がい者の働く場所としてはなじまないから」という理由で門戸を閉ざしている会社も多いのです。
本当にそうでしょうか。深く考えずに、思い込みで、安易に障がい者の人達に対して、門前払いを食わせていないでしょうか。

余談ですが、私は、1年前までイマージョンという会社で役員を務めていましたが、従業員幸福度、EHを高めるための、調査診断、コンサルテーションなどをミッションに取り組んでいました。イマージョンは、いい会社の条件として障がい者など多様な人々に働く機会を提供すべきということを理念にしています。自らもそれを体現する企業であると標榜していました。しかし私が脳梗塞になって、療養期間を終えて、まさに復帰しようと出社した初日、いきなり「役員を辞めてくれ」と言われました。理由はと聞くと「役員は激務だから」とのことでした。まあ私の病気をきっかけにして役員から追い出したくなる理由があったかもしれませんが、それは私の不徳の致すところです。しかし建前としても、否、建前だからこそ、取締役は激務という理由はツッコミどころ満載です(笑)。これを聞いて私は、取締役の機能がわかってないなあと思いました。自称、経営コンサルタントなのに…。皆様には釈迦に説法かもしれませんが、病み上がりを私の取締役退任の理由にするのは、原理的におかしいのです。取締役は決議機関の一員であり、高度な判断が求められるにしても、肉体的激務である必要はありません。確かに肉体的な負荷は避けるべきでしょうが、
肉体的に激務である執行機関の責務は外すとしても、取締役には留任、あるいは非常勤の取締役とするという手もあるはずです。まあ中小企業では、実質的に取締役は執行機関の幹部も兼ねていることが大半ですから、現実的にはそういうことも言えるかもしれませんが、建前としての取締役の退任理由としては明らかに不当です。建前として、病気を理由に取締役の退任を迫るのは、明らかに理念に反するなあと思いました。すみませんちょっと自分のことなので筆が滑りました(笑)。閑話休題。

私の場合は後遺症があってもおかげさまでよく回復して、余裕で東京まで通勤はできますが、療養終了直後は今よりもずっと回復状況が進んでいなかったので、駅の階段の上り下り、 混雑して立ちっぱなしの電車(ヘルプマークをつけていても、ほとんどの人は知らないか、無関心なので、席を譲ってくれません。今までヘルプマークを見て席を譲ってくれたのは、たった一度です)に苦労しました。

もし、自宅でのテレワークが可能になれば、足が不自由で車椅子で移動するしかない人などが働く機会や、企業にとっては、体が不自由で優秀な人材を雇用できる機会につながるのではないでしょうか。

テレワークによって様々な多様な人々、働くのに困難な条件を抱えた人々に参画の機会を拡げることができます。

例えば世界中の有能な人々を国籍や居住地に関わらず、貴重な人的資源として活用できます。
介護や子育てなどでフルタイムでリアルな勤務が困難な人々に働く機会を提供できます。
今、日本では介護を理由に退職する人が多く、問題になっています。
男女共同参画という点で女性の参画は国際的に見ても非常に低く、OECD 加盟国中でも非常に低い位置に甘んじたままです。
これには色々な理由がありますが、出産・子育て(もとも女性だけが担うものでないはずですが、未だに男性の育児休職は少なく、女性に負荷がかかっていることが多い)の負担により、リアルなフルタイムが困難になっていることが大きな理由のひとつです。
テレワークによって女性がキャリアを理不尽に切断させることなく、働き続けられる社会となります。

レワークの導入にトライすることが企業のリスク対応力や生産性を高める

闇雲にテレワークを導入しろと言うつもりはありませんし、業種業態によっては、大半の工程がテレワークの成り立たないものもあるでしょう。

しかしうちの会社でどの程度テレワークできるか考えてみようというのは、すぐにテレワークに移行する必要はない会社でも、有意義であると考えます。

今回の新型コロナウイルス騒動で明らかになったように、仕事の場所を機動的分散や移動ができる態勢を整えておくことは、地震や台風など不測の天変地異に対するリスク対応力を直接高めることにつながります。

またテレワークに移行することを困難にしている要因が、非効率な業務のボトルネックとしてテレワーク導入検討を機会に可視化されます。

また人手不足に悩んできた会社がテレワーク導入によってより多様な人材調達が可能になることで、人的リスクの対応力も高まります。

このようにテレワーク導入の検討によって、よりしなやかで強靭な企業体質に変革することが可能となるのです。

テレワークの導入がリスク対策として有効であることは、今回の新型コロナウイルス騒動で多くの企業が実感していると思います。


当面、テレワークは、この新型コロナ対策と言う喫緊の課題のために、有効な解決策として、一気に普及が加速すると思われますが、

これを機会に多様な人々が多様に働ける社会を築く契機となればと考えます。


金子みすゞが詩に綴ったように

「みんなちがってみんないい」

そういう社会になることを願っています。

それに向かって、私も少しでも貢献できればと思います。

(松島 紀三男 イーハピネス株式会社 代表取締役)

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