本日(7月4日)はアメリカ独立記念日-独立宣言に初めて「幸福追求権」が明記

7月4日本日はアメリカ独立記念日-独立宣言に初めて「幸福追求権」が明記

 本日7月4日はアメリカ独立記念日です。基本的人権としての幸福追求権は、この米国独立宣言において、人類史上、初めて宣言されました。 

「幸福追求権」は一七七六年、「アメリカ独立宣言」において初めて明記されました。独立声明の起草者の一人である、トマス・ジェファソンが文書執筆にあたりました。

米国大使館、アメリカンセンターJapanのホームページ[i]には、このように記載されています。

独立宣言の執筆に当たり、ジェファソンは、自然権と個人の自由という理念を重視した。これらは、一七世紀の哲学者ジョン・ロックらによって広く提唱されていた理念であった。独立宣言の冒頭には、『すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている』と述べられている。

独立宣言(抜粋)

一七七六年七月四日第二回大陸会議により採択

十三のアメリカ連合諸邦による全会一致の宣言

われわれは、以下の事実を自明のことと信じる。すなわち、すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられているということ。こうした権利を確保するために、人々の間に政府が樹立され、政府は統治される者の合意に基づいて正当な権力を得る。そして、いかなる形態の政府であれ、政府がこれらの目的に反するようになったときには、人民には政府を改造または廃止し、新たな政府を樹立し、人民の安全と幸福をもたらす可能性が最も高いと思われる原理をその基盤とし、人民の安全と幸福をもたらす可能性が最も高いと思われる形の権力を組織する権利を有するということ、である。(傍線筆者)

「日本国憲法十三条」における「幸福追求権」の明記は、この「米国独立宣言」の影響を受けたものとされています。

「幸福追求権」は組織に対し超越的

先ほど示した米国大使館、アメリカンセンターJapanのホームページの記述にもある通り、「アメリカ独立宣言」は、ジョン・ロックの思想の影響を強く受けています。

ジョン・ロックは、全ての人間は何人も侵すことのできない固有の権利を持つという「自然権」を支持する立場から、この権利は既成の政治体制(当時は王制)に対して超越的な普遍性を有するとし、国家や政治体制、統治機構は社会契約(統治契約)によって成立するとしました。

ロックは『市民政府論』[ii]において、次のように述べています。

地上のいかなる上位の権力にも縛られず、人間の意志や立法権の支配を受けず、自然法以外に人間の従うべき準則が存在しない──これが人間の本来の自由である。それに対して、社会における人間の自由というものがある。そのような自由は、国内で同意にもとづいて制定される立法権力に制約される。ただし、それ以外のいかなる立法権力にも制約されない。

国家、統治機構が人間固有の権利である自然権を侵害すれば、国民は抵抗権によって政治体制を取り替える革命も正当化されるとしたので、アメリカ独立のみならず、「市民革命」に正当性を与える原理ともなりました。

この「契約」の概念は、政治体制は無論のこと、会社、官公庁等、あらゆる組織にもあてはまります。

ゆえに、「従業員幸福(EH)」の追求権も、当然に所属する組織に対して優越的権利といえるでしょう。

このように極めて先進的な内容を含むアメリカ独立宣言ですが、残念ながら黒人奴隷はその対象から除外されていました。今日、 いまだ根強い米国の人種差別を見るとき、一刻も早くすべての米国民が平等に幸福を追求する権利を確立されることを強く望みます。


[i] 独立宣言(1776 年)|About THE USA|(米国大使館,アメリカンセンターJAPANホームページ)

[ii] J.ロック『市民政府論』第四章「隷属状態について」(ロック, 角田 安正 著)

(松島 紀三男 イーハピネス株式会社 代表取締役)

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