ハピネス(Happiness)

「ハピネス(Happiness)」は「幸福」「幸せ」、より狭義には「幸福感」を意味する。英単語、ハピネス(Happiness)の訳語としてとは一般に「幸福」が定着している。「Happiness」の訳語に、明治初めに当時の新語である「幸福」が当てられた。
明治8年頃、西周が書いた論文に「人世三宝説」があり、その中で「最高善は一般福祉」「最大福祉モストグレートハピネス」とあり「Happiness」の訳語として「福祉」を当てている。これらのことから「Happiness」の訳語に、最初「福祉」という言葉が用いられ、その後、新語「幸福」に替えられたものと推察される。
同時期に、陸奥宗光が、功利主義の始祖として知られ、後述する「快楽説」幸福論の大家、ジェレミー・ベンサムの「道徳及び立法の諸原理序説」(An Introduction to the principles of morals and legislation)を「利学正宗」の表題で翻訳、出版している。出版は明治16年であり訳本では「happiness」を常に幸福としている。
ただし日本語の「幸福」という言葉の意味は「ハピネス(Happiness)」よりも相当広い。「Happiness」は一時的で気軽な感情を意味する。これに対し、日本語の「幸福」あるいは「幸せ」という言葉は「Happiness」の一時的で気軽な感情から、比較的長い時間軸を持つ、崇高で精神性の高い意味までを含んでいる。その意味では「Happiness」の訳語としては「幸福感」の方がより適切かもしれない。
今日、注意が必要なのは、英語の「Happiness」と「Well-being」の違いである。ウェルビーイング(Well-being)とは、肉体的、精神的、社会的、全てに充実した状態のことであるが、近年拡張された概念では「幸福」という意味でも用いられる。どちらも和訳としては「幸福」あるいは「幸せ」という意味を持つ。ただし「Well-being」の訳語としては「幸福」とともに、多くはないが「福利」という訳語も用いられる。
ウェルビーイング(Well-being)については本辞典「ウェルビーイング(Well-being)」の項も参照のこと。

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