「従業員幸福度」の土台は「オーナーシップ」

従業員の働く幸せの土台はオーナーシップ

働く幸せの根源となる要素は何か、
これを突き詰めて考えれば、
私は

オーナーシップ(所有感、自分のものであるという実感)

オートノミー (自由、自己決定、自律)

この2点だと考えます。

オートノミーは次の機会に述べることとして、
今回はオーナーシップについて述べます。 

オーナーシップの訳語として、
当事者意識とか主体性という訳が当てられる場合もありますが、
ちょっと元々の意味あいがが薄まってしまう感じがします。

オーナーシップのオーナーとは
Owner(持ち主、所有者)であって

自分の仕事が、確かに自分のものだという実感が持てるかということです。

自分の仕事がまさしく自分のものだという実感が持てれば、
働いて仕事に精を出している時間は
働きがいに満ちて、真に楽しく、寝食を忘れて打ち込むことができるでしょう。

オーナー企業の経営者が、
しばしば嬉々として、365日、早朝から深夜まで、実によく働く人が多いのは、
まさにこの「Ownership 」が、100%持てているからです。

健康に害がないか心配ですが、
よほどの睡眠不足でなければ、
オーナーシップを感じて働くことは、不健康なストレスがないので、
実は健康にも良いのです。

逆に自分の仕事にオーナーシップが感じられないと、
働いているときは、辛く嫌で嫌でたまらない、苦痛に満ちた時間となるでしょう。

これはマルクスの言う「疎外された労働」に他なりません。

「労働における疎外」が働く幸せの喪失の本質であることは、
拙著『従業員幸福度の研究』でも強調したところですが、
いかに「疎外」された働く幸せを取り戻すかが、拙著の眼目とするところでもあります。

残念ながら、
大多数の勤労者は、勤務先のオーナーではなく、
「完全なオーナーシップ」を実現することは不可能です。

「オーナーシップ」を持った従業員は「働く幸福」を実感するばかりでなく、
全身全霊をもって仕事に打ち込むので、
積極的に働き、創意工夫も発揮し、仕事の成果もまた大きくなるので、
会社にとっても高い生産性、収益性を実現できます。
またこのような従業員は会社や会社の仕事を、まさに自分のもの(=オーナー)であるかのように思っているので、
不正を働く可能性もなく、経営のリスクマネジメント上も有効です。

したがって「従業員の働く幸福」「社員の幸福」を実現するためには、
生産手段の所有から疎外され、
「オーナーシップ」という意味で、働くスタートラインでハンディを背負っている、
従業員、社員の方々が、
いかに「 Ownership」を実感できるようにするかが、
経営の最重要課題ともなるのです。

そうして従業員と経営とか、真に win-win の関係を構築することが、
我々の目指す「EH経営」に他なりません。

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