神道・仏教・儒教の融合による日本の労働観①「幸福」とは何か(その26)

(宇佐神宮)妻の実家 安倍昭恵 首相夫人ご一行に来られて迷惑を被り気の毒。

  神・仏・儒の融合による日本の労働観

日本における労働観に、宗教が及ぼした影響はどのようなものか見ていきましょう。

日本においては、政治、社会、生活の隅々に至るまで、神道、仏教、儒教の影響を強く受けてきました。

宗教として儒教の影響と言われても、ピンとこない人が多いと思いますが、日本人にとって儒教は宗教というよりも教養、仕事や生活の倫理規範として定着したという面が大きいでしょう。

日本において労働倫理、働く幸せについても、神道、仏教、儒教が複合し、あるいは融合して日本人の労働観、仕事を通じた幸せに大きな影響を及ぼしてきました。

特に神道と仏教は明治維新以前は神仏習合であり文字通り融合していた状態こそが当たり前だったのです。明治政府により、神道の国教化政策を行うため、明治元年(1868年)神仏分離令が発せられ、公式に神道と仏教が別々の宗教とされました。

神道と儒教も、神仏習合ほど一般には広く言われていませんが、古代の神道形成も、儒教の祖霊崇拝と日本古来の信仰との親和性から強く影響を受けたと考えられています。神儒一致思想は鎌倉時代には形成されていたとみられており、江戸時代に入り、林羅山をはじめとして、儒家神道という形で広く説かれるようになりました。 

こういったことは従業員幸福度、働く幸せを直接規定するとまでは言えませんが、日本人の職業生活における幸せの実感、働く幸福度の性格には、間接的にせよ大きな影響を及ぼしたと考えます。 

したがって、日本における神道、仏教、儒教の独立した労働観を論じることは難しいのですが、それぞれの宗教が、日本の労働観へ及ぼした影響について見ていきましょう。

まず神道ですが、古代から形成されてきた日本固有の思想とされますが、祖先崇拝等、中国やアジア文化圏に見られる古代からの信仰と、共通の基盤を持っているとされています。また自然崇拝も、古代から世界中に幅広く見られたものであり、現代に伝承された世界中の神話から、それを窺い知ることができます。 

神道は、他の宗教同様、形成以来、長い歴史の中で様々に変化しており、キリスト教やイスラム教、仏教等と異なり、統一的な聖典や教祖も存在しないため、要約することは難しいのですが、日本人の生活、労働の根底に深く根を下ろしていることは間違いありません。

神道(あるいは神仏習合的な日本仏教、儒教の影響を受けた神道)として統合化された、古来から形成された日本の民族的信仰が、日本人の労働観に影響を及ぼした要素を挙げるとすれば、以下の三点に要約されると考えます。

汎霊信仰(汎神論)

祖先崇拝(先祖祭祀)

言霊信仰 

次回以降、それぞれが働く幸福に与える影響について述べていきましょう。

(松島 紀三男 イーハピネス株式会社 代表取締役)

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